教壇に立って知る日大通信の落とし穴
いくら大学で勉強したとて、実際に教員として学校で授業をしてみてわかることもある。いや、むしろそんなことの繰り返しである。もっと言えば、それはどんな職業に就こうと同じだろう。
だが、間違ったことを教える、教師として当然知っていなければならないことを教えないというのは論外ではないか。私が学校で実際に経験した「まさか」は、わずか1ヶ月足らずでやって来た。
初任者は制度上、1年間の定期研修があり、月に1度必ず、学校に専門指導員の先生が来校して授業参観を受ける。教員はそれに合わせてその日の学習指導案を作成するのだが、「国語科の指導案は縦書き」という日大通信で受けた指導とは反対に、「今は全教科横書き」というのが普通。これは東京都に限った話ではない。他府県で国語科の教育実習を行った学生も同じことを言っている。
横書きと言われたなら横書きに書き直せばすむ話。そう言ってしまえばそれだけの話ではある。だが、大学側がそれを知らないというのは看過できない。日大は古い情報しか持ち合わせていないのか?と、疑われてしまっても不思議はない話だ。
日大出身の先生は、絶対数で言えばかなりの数に上る。にもかかわらず、大学と卒業生とのごく基本的な情報共有もなされていないのは、実に残念なことだ。観点別評価の説明や正しい指導案の書き方など、大学で教えることがもっとあるのではないのか。やるべき勉強をしないのが学生の怠慢なら、教育機関としてやるべき努力をしないのは、大学の怠慢だと思う。