カモシューとスクーリングその④かな書法、漢字書法
教職的観点から見て書道を学ぶ場合、試験かスクーリングか、一概に言えないと私は今感じている。
現在、中学校では国語科の授業の中に書写が含まれるため、中高両方の教員免許を取ろうとする場合は(ほとんどの方はそうだと思うが)必修科目となる。
他の科目同様、リポートを出して試験を受けるか、スクーリング1回合格でさっさと終わらせるか。
論より実践!多くの方はそう考えると思う。だが、学校で書写の指導を経験してみて感じた盲点がある。
それは、「書写をするのは生徒たちである」ということだ。確かに、綺麗に、かっこよく字が書ければ、それだけで説得力もあるし、大きな強みにはなるだろう。だがしかし、それは多くの場合、もともと書道を習った経験があり、基本的な技能を身に付けていることがほとんどである。
日大通信のスクーリングは、昼間スクーリングを除いて3日~4日完結の短期集中講義形式であることが多く、書道の場合ほぼこの形になる。問題は、これだけ短期のスクーリングの中で、書道の未経験者が生徒を指導できるほどのスキルを身に付けられるか、ということだ。
実際に筆をとり、精神を集中して書くという経験はなかなかできないし、いわゆる座学で一日中黒板と向き合っているよりも楽しくはある。
しかし、一時的に習ったことをいつまでも維持していられるかと言えば、少なくとも私にそこまでの能力はない。かといって、毎日のように習字の用具を広げて筆遣いを練習するほどの時間もない。おそらくこれは多くの人が同じだろう。
それでも、授業でやらなければならないとなれば、拙い知識をもってでもやるしかない。これが現状である。ならば、実践よりも論ではないだろうか。
例えば、平成25~26年度の漢字書法分冊1は、「文房四宝(筆、墨、硯、紙)と、その取り扱いについて述べよ」という報告課題が設定されていた。考えてみれば、これは書写の授業で最初に生徒に説明する内容が多く含まれており、このリポートを提出するために、必然的にこれらを勉強することになる。
一方、スクーリングは書くことがメインになるため、正しい知識までも身に付けるには、3日や4日という時間はあまりに短すぎるのである。
理屈だけ知っていても、それだけでは…よく言われる言い方ではあるが、実践力を身に付けることが困難ならば、「理屈だけ」知っているほうがまだ「マシ」、ということにはなるまいか。
書道未経験で、中学校を志望される方はぜひ記憶のどこかにとどめておいていただきたいことだ。