日大通信懐古
所用を済ませた帰り、神保町で乗り換えだったので、途中下車して夕食をとり、散歩がてら水道橋まで歩いた。
やはり私にとっては、水道橋といえば日大通信。三崎町キャンパスと呼ばれる、水道橋駅近くのキャンパスで、英文、国文あわせて4年間のうち、3年間を過ごした。写真の校舎は、旧通信教育部1号館(現在は法学部14号館)。
市ヶ谷に移転して3年以上が過ぎたが、私の中にある日大通信といえば、今も水道橋・三崎町キャンパス。私と同時期に在籍した人なら、私と同じ感覚を持っている方は多いのではないかと思う。
通信制課程としては、日本でも有数の長い歴史を持つだけに、旧校舎は建物自体も、いかにも昭和の佇まい。学校の校舎も現代的なおしゃれなものが増えている中、巨大ビル群の狭間、隙間家具のようにポツンと建つ通信教育部に、妙な愛着があった。
今風な大学生というより、会社帰りのサラリーマンや、育児の合間を縫って勉学に勤しむ主婦が、この狭い入り口に妙に似合っていた。入り口も狭ければ、廊下も教室も狭い。周辺の雑居ビルの一室の方がまだ広いのではないかと思えるほど、大学の教室らしかぬ狭隘さであったが、来るもの拒まずという雰囲気、それはあの建物だから出ていたのかもしれない。
社会人としてのスキルアップを図りたい。教員免許をとり、学校で働きたい。多くの勤労学生の思いが、マンモス大学らしかぬ小さな小さな建物に、今でも詰まっている気がする。