2015年:自ら蹴った中学校教員への道その1
2015年春。
前年夏の試験で期限付の名簿登載となったものの、期限付だけになかなか電話が来ない。時はすでに新年度を迎えようとしていた。気持ちは焦り、とにかくどこでも良いから、声がかかったところに行こうという気持ちにだんだんとなってくる。期限付とはいえ、初めて手にした「名簿登載」という響きに、絶対手放してはいけないような錯覚を覚えていた。
私立の非常勤講師の仕事は、4月からどこかの都立学校で仕事があることを見越して契約更新をしなかった。そして4月。いっこうに声がかからないまま、新年度のスタートラインを越えてしまったある日のことだった。
夕方近く、ベッドに寝転がりスマホをいじっていると、おもむろに着信があった。
「◯◯区教育委員会●●課の△△です。」
来た!!
そこから先はあれよあれよという間に話が進み、区内の中学校での任用が決まった。とりあえず胸を撫で下ろしていたが、これこそが長い長いトンネルの入口になるとは、まさかこの時に知る由もなかった。